第四章 廃国置県
4 廃国置県という手法
現代の通信情報環境をみれば、インターネットが世界のすみずみまで張りめぐらされている。この面ではすでに国境はなくなっているとも言える。EUの形をそのままアジアやアフリカや南北アメリカに普及したら世界国家らしくなる。日本では、成立してまもない明治政府は一八七一(明治四)年、大小三百の藩を一挙に廃止して三府七十二県にするという廃藩置県を断行した。「案ずるより産むが易し」で、想定した混乱もなく終了した。いつの日か世界も日本の成功例に倣って、廃藩置県ならぬ廃国置県を断行し世界国家を建設すべきではないだろうか。
未熟な政府による国家が存続することで国民がいつまでも貧困にあえぐより、世界国家の一つの県となった方が良い。そこで中央政府の指導と支援を受けて正しく発展した方がましである。一つの独立国家として存続しているより世界国家の地方となったほうが、その国にとっても国民にとっても財政面や外交面などで救われるという国家も多いはずである。実際、明治維新の日本では、財政に困窮していた藩の多くは、廃藩置県で中央政府に吸収され助かったのである。五十年先か、百年先のことであるかは分らないが、人類の未来を切り開くため、世界国家を建設するには廃国置県という手法が一番有効であろう。
このことに主導的役割を果たし世界人類に貢献することは、日本の使命ではないだろうか。日本はそれを成せるような国家に成長すべきである。