第三章 聖賢への道
人間の本質
人間とは一体どういう生物であろうか。何を思い何を考えて生きているのであろうか。人間が頭の中で思い考え行動に移すときは、99.99%自分のための行動であるという。自分自身の心の反応を公平に分析できるとしたら、自身の想念(思ったり願ったり考えたりすること)の99.99%は、自分自身のこと、自身の家族、仕事、友人、子供、財産などに向けられていることがわかるであろう。
これを類別してみると、想念の85%は自分をどのように維持していくかという自璧 己維持の考えで満たされており、あとの15%は自己快楽にとらわれていることになる。要は、自己維持と自己快楽が頭の中を99.99%占めていることになり人間は朝から晩まで自分のことばかり考えていることになる。残り0.001%が私の思いであるという。
この例で見れば、人間がとったどういう行動でも、自己維持か自己快楽の行動のいずれかであり、たとえ人のためとか、世のためとかいう行動であったとしても九九・九九%は自分のための行動ということになる。どういう場合のどういう状態であれ人間は自分のことしか考えず行動しているということになる。そうする動物であり、それが当然であると考えるべきである。
「人間は99.99%自分のことしか考えない」ということをお互いが考えの根底に置けば、「裏切られた」とか「誠意がない」という一方的に相手に付けた言葉は、吹っ飛んでしまうだろう。しかし、多くの人は「私はあなたのことを考えているし、あなたも私のことを考えてほしい」と思っている。自分が思っているとおり、または期待しているとおり相手が行動しないと誠意がないということになり、意に反することを相手がとると裏切ったということになる。
人間の本質をしっかりと見極め、0.001%の無私の部分を探求し拡大することが人の人としての道を探求することになるのではないだろうか。