気宇
この世界においては己を世界一の人間だと思うがよい。実際この世に我と同一の人間は一人もない。我は世界中に人の数が六十七億人いたら六十七億分の一の存在である。我と他は比べようがない、また比べる意味もない。我は我である。一箇の地球上の生命体の我であり、人間の中にあって、大自然の中にあって、大宇宙の一部として我を生きる。我が人間であるなら人間のなんたるかを知り、その道を極めることを望む。我が一箇の人間としてどれほどの可能性を持ち、またそれをどこまで拡大し得るか、それを試みて生を終えたい。我は一箇の大丈夫、西郷吉之助であればよく、それ以外は必要としない。
この何千年、何万年と連綿として続く人間の歴史の中にあって、ただ一箇の我ではあるが、その志気は天地を貫かんとし、その気魄は天地を破らんとする者である。古(いにしえ)の聖賢・英雄・豪傑を呼び起こして我の友とし、我は未来の人間・人類の生き方のモデルの一つとして参考にでもなればと、大丈夫西郷吉之助で生きるのである。