活動報告

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2024年7月号エール 早川幹夫×沖見泰一氏

2024年7月号エール 早川幹夫×沖見泰一氏

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民主主義の選挙制度を改革しなければ

道義を行う人を国政に送り出したいと、日本道義主義の会は将来の選挙にそなえ「西郷党」を立ち上げた。
今回は選挙のプロ、沖見泰一さんをゲストに熱い対談が行われた。

沖見泰一 日本・朝鮮ーー未来への扉代表
1953年和歌山県生まれ。日本道義主義の会副会長。
大物国会議員の秘書を長く務めた。ある政党の党首に「あの沖見という秘書は悪魔だ」と言わせた伝説の秘書。「日本・朝鮮―未来への扉」代表。紀州のドンファンこと野﨑幸助氏とは40年来の親友。
亡くなった時にはマスコミに多く登場した。テレビ番組「じっくり聞いタロウ」、「街録チャンネル」に出演。ユーチューブ「おきてんワールド」主宰

早川幹夫 日本道義主義の会会長
日本道義主義の会会長。1948年鹿児島県奄美大島生まれ。拓殖大学卒。琉球大学文部事務官に就職。その後沖縄・東京で人材派遣会社を起業し、現在に至る。西郷隆盛の生き方に感銘を受け、混迷する現在の世界の政治と経済に道義主義を唱える。著書に「一箇の大丈夫 西郷吉之助」「道義国家を目指した西郷吉之助」「始末に困る人 西郷吉之助」などがある。

投票率を上げるには選挙制度の改革が必要

早川

民主主義選挙というのは面倒くさいですね。当選するとまた次に当選するように、囲い込みま
す。これでいいのか。でも我々の意見を言う手段としては民主主義選挙で勝つほかないです。

沖見泰一

選挙の仕事は50年近くやってきました。ひょっとしたら私は今騒がれている自民党の裏金で今まで生きて家庭を持ち、子どもを学校に行かせて、家を建ててきたのかなと思うぐらい、そういう世界を歩んできました。
 面倒というのはよくわかります。
 如実に表れているのが投票率の低さ。知事選の投票率は25%。4人に3人は行かない、地方選挙も3人に1人は行かない。
 昔は刀持って、鉄砲持って、権力と争ったけれど、今はそんなことできないから、選挙で代表を選ぶ。では投票率を上げるにはどうすればいいか。明確な選択肢を国民に与えて、その与えられた選択肢に対して有権者が選択するしかないです。
仮に明日から日本が戦争に突入する。夫が、父親が兵隊にとられて、戦地に行けば死ぬかも分からない。それについて賛成ですか、反対ですかという大きな選択肢を与えたら誰でも選挙に行くと思うんです。

早川

その選択肢はどのようにして与えられますかね。

沖見泰一

政治家が自らの考えを前面に出して、戦争か平和か、どちらを選びますかという耳に引っかかるような問題の選択を迫る。
 今の日本の公職選挙法は、世界でナンバーワンだと思います。アメリカの大統領選挙で、トランプは負けたのに、俺は勝ってると争いを起こしたり、韓国では票数ではなく、パーセントで大統領を決めている。ロシアも中国もまともな投票はやってない。金をばら撒き、飯食わせ、仕事を与えては一切ダメなのが日本の公職選挙法。それもいよいよ限界に来ました。
 江東区の選挙で、「つばさの党」の選挙妨害が取り沙汰されていますけど、あれは現行犯逮捕する事案です。選挙妨害で逮捕できない時は道交法でも公務執行妨害でも逮捕すべきでした。この裁判はどう判断を下すのか見守りたいし、公職選挙法を見直さなければまたあのようなことが起こると思います。

早川

選挙制度を変えるのは面倒だけど、それをやらないと、愚民政治になりやすい。為政者としては、国民は何にも考えない人がコントロールしやすい。そうさせないように、投票する人と選ばれる人がお互い競争しあうように持っていかないと。
 やっぱり投票する側は一票の権力を行使するわけだから、それを持って戦うのです。それを放棄してはいけないし、選ばれる人からしたら油断ならない選挙民だなと思うようにすべきだと思います。

沖見泰一

基本は出たい人より出したい人を選ぶことです。Aさんの出したい人とBさんの出したい人で違ってきますよね。どの人が自分の考えを反映してくれるかが大事です。

沖縄の「イチャリバチョウデー」とは「一度会えば兄弟」

早川

人間という動物は進化しないと…。どうしたら人と仲良くできるか、どうしたら戦争しなくてすむかを考える。
 ガザ地区で約3万5千人が亡くなり、その七割が子どもや女性。ハマスの兵士や幹部を特定してAIが操作し、無人機が攻撃する。そうすると10%は誤爆がある。
 命の価値は地球より重いと言われたけど嘘八百です。死ぬために生まれてきたわけじゃない子どもが無人機で殺されているんです。

沖見泰一

あの戦争は今の我々では理解できない戦争です。おじいちゃんが殺した、親父が殺された、自分が殺しに行くという繰り返しを三千年もやっているんですから。コーランには異教徒に石をぶつけて駆逐しろと書いてある。イスラエルの戦車とか爆撃機を見たら、子どもが石持って投げている映像が映っています。

早川

例えばガザ地区で生まれた子どもを飛行機に乗せて、アメリカの富裕層が育てたら違う人間になると思います。世の中の仕組みを根本的に変えないと恨み、憎しみが連鎖していくのです。
 昔、島津藩でも内紛がありました。血で血を洗う争いがあって、それを解決するために島津斉彬が後継者を自分の子どもにしないで、敵対する側の異母兄弟の息子に譲ったのです。
 沖縄に「イチャリバチョウデー」という言葉があります。一度会えば兄弟だという意味です。

沖見泰一

大化の改新以降、この国は官僚が支配しているといっても過言ではありません。政治家は官僚に使われています。私も頭よかったら官僚になりたかったですね。政治家を動かして、司法を動かして、自分が理想とする国を作れるかなと。

早川

政治家は総理大臣になることが最大目的。なったらなったで、一分一秒でも長く続けたい。総理
大臣は国の盛衰を一言一句でやれるなら真剣にやらないとダメです。

沖見泰一

早川会長がよくおっしゃっている、命もいらず、名もいらず、金もいらぬ者ほど始末に困る人はいない。始末に困る人が総理大臣をやればいいのですが、本心は命もおしいし名も欲しい。
 政治家も最初は青雲の志をもっていましたが、日々やっていくうちに疲弊して壊れていく。官僚の人たちによってたかって動かされるので。政党が変わってもすぐに元に戻ると思います。始末に困る官僚が必要です。

早川

官僚は人間AIですよ。この時にはこのように謝る。こういう時はこの手を使うと、全部頭の中に入っている。国家公務員は全体の奉仕者とありますが、実は自分が出世するために一部の奉仕者に成り代わっているのです。

民主主義選挙制度も変えなければいけない

沖見泰一

先日行われた地元の町長選挙では4人が出馬。
70歳の方、69歳の現職、私らが担いだ32歳の青年、31歳の青年。4人で争ったけれど、圧倒的に勝利したのが70歳の方。世代交代を訴えましたが。変化を望まない。「世代交代? 何それ」と。でもそう言う人たちの方が投票に行くんですよ。若い候補者を2人足しても70歳の候補者には敵わない。ぶっちぎりで年長者の候補者が勝ちました。
 現職は三期12年やられた方でしたが、何も町のために結果を出していないと批判され落ちました。
70歳の方は元参議院議員を二期12年やられた方ですがその高齢の方に地域を託すというのです。
 もう一つの敗因が昔は不在者投票といっていたのですが、今は期日前投票に名称が変わった。当日投票に行けない人は名前と住所を書けば投票用紙をくれる。以前は本人確認の保険証とか免許証が必要でしたが、今はそれがいらないので期日前投票が30%ぐらい増えています。上手くすれば替え玉でもできます。
 だから告示したら毎日が投票日で、本当の投票日は単なる開票日。ビラを後半に流し、投票日に標準を合わせる、という私の経験は邪魔になりました。同じ車が人を乗せて何回も役所に来るんですって。車の中で「何々さんに入れてね」と。

早川

王侯貴族から自由の身になった人たちが今度は誰を自分たちのリーダーにするかということで民主主義選挙が生まれました。しかし、民主主義選挙でプーチン大統領でも五期。カンボジアでも自分の息子を首相に。みなさんの一票で選ばれたのだから全ての権利を持ちますというのです。民主主義の投票制度の仕組みややり方を進化させ、同時に民衆の教育もしていかなければなりません。

沖見泰一

少し前までは女性には投票権がありませんでした。その前はお金のある男性だけ。その前は談合です。この一票を勝ち取るのに何人の人が血を流したか。大変な思いで勝ち取った選挙権を今一度考えてほしいですね。市川房江さんが女性国会議員第一号になったのはついこの間の事です。

早川

投票する人とされる人が五分五分の戦いができるようにしないと劣化します。そして投票する人が投票して終わりではないです。
本当の主権在民であれば、主権は私にあるのです。

沖見泰一

政治家になる人は1 0 0メートルを何秒以内に走るとか。
重たいバーベルを持てなくてはダメだとか。そういう気力の資格とか、ハードルを設けた方がいい。柔道は黒帯以上。囲碁・将棋は何段以上。
そういうことをやると世襲議員や二世議員とかがいなくなる。

早川

そういう思いきった改革をして、代表を選んで、国民の代弁者として仕事をしてもらう。

沖見泰一

変えるためにどうするか国民が意識しないと。何も考えてないと政治家、官僚に負けてします。

生きているうちは四海兄弟(よものうみみなきょうだい)です

早川

第二次世界大戦後の冷戦ではソ連が崩壊していったんはアメリカが勝った。これが今は中国とアメリカの新冷戦に突入していると思います。中国と仲のいい北朝鮮。アメリカの手先になっている日本。例えば日本と北朝鮮が手を組んだら、新冷戦も雪解けするんじゃないか。
そのためには日本と北朝鮮が仲良くしなければならない。日本の役割は新冷戦にピリオド打って幸せな世の中にすることではないかと思うんです。政治家も勇気を持って、世界の平和を作るんだと思ってほしい。

沖見泰一

 「日本・朝鮮―未来への扉」。
これは日本と北朝鮮の未来の扉です。これは私が代表をしている、数少ない民間の北朝鮮と日本が仲良くする団体なんです。
 私が平壌に行った時、北朝鮮の人たちは日本人を怖がっていました。日本人は火つけたり槍で刺したりしながら満州に行った。これが80年前です。今の朝鮮の人々の祖父、祖母、曾祖父、曾祖母はえらい目にあっている。北朝鮮からしたら日本は怖いけど、日本からみたら北朝鮮も何か怖い雰囲気。でも安倍政権の敵視政策でそうされたんです。東京にミサイルが飛んできたらどうすると大騒ぎ。それじゃ解決にならないですよ。話し合いをすれば日朝国交正常化はそんなに難しいことじゃないと思います。
 韓国と北朝鮮も、あなたたち同じ朝鮮半島の人たちでしょう。日本でいったら青森と鹿児島みたいなもの。仲良くしたらどうですか、ということからドアを開けていく。

早川

日本も幕末には300の国があって、徴税権とかを持っていた。
廃藩置県でそれがなくなりました。国が統合されても同じ人間なんだから大したことはない。
 相手が武器を持ってるから自分も持とう。それは人類が繰り返してきたこと。沖縄には琉球空手がありますが、空手は手に何も持たない。プーチンや金正恩も手に何も持たないで戦えばいい。そしてきちっと歩み寄る。お互い兄弟じゃないかと。

沖見泰一

早川会長のおっしゃる、四海兄弟(よものうみみなきょうだい)ですね。

早川

それは2500年前に孔子が四海兄弟と言っています。みな兄弟のような気持ちで接したらいいと。

沖見泰一

せっかく今の時代に生まれて、生きているんだから白人も黒人も黄色人種も関係なく、今生きている人は皆兄弟。過去ももう過ぎたことだし、今生きている我々は仲良くやろうと。
 笹川良一さんは世界は一家、人類はみな兄弟ととなえ、世界連邦を建設して地球から国境をなくせ、国境があるから争いが起きるんだ。金もなくせ、金があるから揉め事が起きるんだと言ってました。

「義」を実践している人をクローズアップさせたい

早川

それを可能にするにはどうしたらいいかを考えることですね。

沖見泰一

立って半畳。寝て一畳。天下取っても二合半と昔の人は言いました。

早川

そういう人たちをクローズアップするのも大事ですよね。アフガンで亡くなった医師の中村哲さん。アフガンの人は戦場に行きたくないけど行かざるを得ない。それなら緑を作って、畑ができるようにすると戦場に行かずにすむ。自分の得にならず、誰に誉められることもありませんでしたが、殺されました。そういう人をクローズアップして「義」に生きる人がいるんだと示したい。そういうことをやっている人いっぱいいると思います。スーパーボランティアの尾畠春夫さんとかね。

沖見泰一

尾畠さんは助けを求めている人が分かるんですって。男の子を見つけた時もみんな下流を探していたけど、到着と同時に上流を探して見つけた。

早川

助けた子を尾畠さんが連れて、家に帰した。お爺さんがいて、どうぞ上がってくださいと言いましたが、私はここで失礼しますと家に入らなかった。それを聞いて、感心しました。やっぱり社会もそういう人たちを見て、感動したり素晴らしいと思うような環境を作るべき。中村哲さんもアフガンの人たちの方がそれを実感して感謝していますよ。

沖見泰一

それを教育の現場で教えなければならないですね。

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