多くの人は自分を本当に強くしようとは思わない
人は一般的に自分自身を強くしようとは思わず、相手が弱くなることを望む。相手が失敗や不運不幸に遭い弱くなると、結果として自身が相対的に優位に(強く)なったことになる。人は常に少しでも自己を優位・有利な立場に置こうとする。その方法として、自己を訓練して強く大きくするのではなく、相手の弱点を突く、権謀術数を用いる、自分より強い者(権威・権力者)に頼る、独りではなく組織、派閥、仲間、グループといった人間の数の力に頼る。いわば小手先の方法を用いることが多い。
ほかの力を当てにする、人の数を頼むことは、弱い人間には無理からぬことで、自然であるともいえる。しかしながら、そうであっても西郷は自分自身を強くすること、個を強くすることが大切で重要だと説く。なぜなら、自分自身を磨き高め個を強くした方が、相手が弱くなることを願うより問題解決が早いからだ。そして、何よりもそれが人の道にかなった生き方である。
人生にはさまざまな問題や困難はつきものである。これを乗り越えようとするときに、人の行うべき正しい道を行い自己修業をして自身を強くした方が「急がばまわれ」ではないが、簡単に早く問題を解決することができると西郷は唱えている。