西郷党BLOG

個を強くせよ 西郷吉之助 p026 第三章-05

一箇の大丈夫西郷吉之助

六十七億人に一人の存在

世界の人口を六十七億人であるとすれば、われわれ一人ひとりは六十七億人に一人の存在となる。あなたと全く同じ人間は世界中に一人も存在しない。あなたも私も六十七億人に一人しかいない存在である。その生命が地上に存在するのはわずか七十〜八十年の時間である。宇宙の悠久の時間に比べたらセミの一生よりまだ短い、まばたく間であろう。いまやそのちっぽけな人間が原子力を開発し宇宙に飛び出している。

『遺訓』の中で西郷は、人間のあるべき姿として「個」の強さを強調している。「あなた」という人間は世界に独りしか存在しない。あなたの両親といえど、またあなたの子供であっても別個の存在である。別の生命体であり「あなた」は地球上六十七億人に一人の存在だ。ゆえに自分自身を大切にし、そして自身を強くたくましくしなければならない。

人間の志気は大きくすればどこまでも大きくなり、天と地の間に充塞し宇宙に達するといい、また腐らして小さくすればどこまでも小さくなり、ついには見えなくなってしまう。己は、世界に一人しか存在しない、一個の人間の偉大さを自覚し、自己を強く大きくし、そして人としての高さを求める。そうしてこそ、人は自分以外の人に対して仁愛を持つことができる。弱い人の持つ愛や優しさは我欲の延長でしかない。我欲に克ち真の強さを求めよ。人としての高さをどこまで登れるか挑戦せよ。こう西郷は呼びかける。

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