第三章 道義国家
11 日本を道義国家に
世界のどの国よりも一番道義国家になりやすい国は日本であろう。またならなくてはならない国家であり、それによって世界に貢献すべき使命を持った国家でもある。
日本は他国に例を見ない武士の文化が七百年もの間続いた。また明治維新も武士による革命でありその後しばらくはその精神は続いた。この間武士は日本の統治階級であり知識階級であり精神文化階級であった。
鎌倉時代の武士、室町時代の武士、戦国時代の武士、江戸時代の武士と、時代の特徴がある武士の精神文化が栄え、日本人の精神文化になったと言える。武士は戦闘集団であるため、戦うことを常としなければならなかった。
このため死生観や忠義心や処世観など武士としての生き方、あり方を常に求めていた。日々の武芸や学問の修得をとおして勇気や信義や礼節を武士として、また統治する者として身に付けなければならなかった。
武士の生き様や潔さや節度は庶民のあこがれであり、もののふ魂サムライ魂として民衆にも取り入れられた。そして、武士道に始まり、商人道や何々道といったその分野において道を極めることや道義的なものが尊ばれる風潮が醸成されていった。特に江戸徳川幕府時代は二百五十年にも及ぶ鎖国であったため、異文化が入り得ず日本独自の武士の精神文化が育ったのである。このように日本人には道や道義といった概念が心の中には息づいているのである。日本は経済大国でありかつ民度の高い国家である。アメリカやイギリスやフランスが道義国家になり得るであろうか。ロシアや中国が道義国家になり得るだろうか。
世界には道義という概念すらない国も多い。国力といい民度の高さといい、日本以外世界のどの国を見わたしても、道義国家に値する国家を形成している国はないのである。資本主義自由経済と民主主義は今、世界の潮流であるが、いずれも様々な問題をかかえており行き詰り感が大きいのである。世界は新しい思想や政治体制や生き方を求めている。これからの時代にこそ世界で新たな潮流を起こすべきである。それは日本にしかできないことなので日本が自覚して世界に貢献すべきである。